実は外来生物ニホンヤモリの手と目に備わった驚きの機能とは

実は外来生物ニホンヤモリの手と目に備わった驚きの機能とは

ニホンヤモリのイラスト

ヤモリは好きですか?

好きか嫌いかで言うと嫌いな方の方が多いという印象があります。
ペットショップにいるヒョウモントカゲモドキというヤモリなんかは意外と人気がありますが、家に張り付いているイモリはやっぱり…みたいな感じでしょうか。
毎週金曜日の生き物紹介、一番最初に紹介した生き物はアカハライモリでした。
その際にイモリとヤモリの違いも紹介しました。

今回は満を持して(?)、日本の家に張り付いているニホンヤモリの紹介です。

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ニホンヤモリの基本情報

大きさ:10cm前後
寿命:10年
生息地:中国東部、日本、朝鮮半島

ニホンヤモリの生態・特徴


ニホンヤモリの体色は灰色や褐色で、同系色の少し暗い斑模様が入り、環境に応じて体色の濃さを変化させることが出来ます。
もう少し詳しく見ていきましょう!

自切と再生する尻尾

尻尾には大きめのイボ状のウロコがあり、

外敵が近づきビックリすると自分で尻尾を切り落とします。

イモリのように骨までは再生出来ず、新しく生えてきた尻尾は形も少しいびつで、骨ではなく軟骨になります。

忍者もビックリな指

平らな体で壁等の隙間に入り込むことが出来るので、一度家に入ってくるとどこにいったのかと不安になってしまいますが、本当にビックリな機能はその指。
ヤモリの指はカエルやイモリのような吸盤状にして張り付いたり、カタツムリのように粘液で張り付いたりするのではなく、

指ごとに趾下薄板と呼ばれる構造になっていて、これによりつるつるした窓ガラスもなんなく張り付けるようになっています。

この構造を少し詳しく見てみますと、ヤモリの足の裏には細かい毛が50万本も密生しており、さらにその先端が無数に枝分かれ、さらにその先が200ナノメートル程のへら状になっているという構造で、あまりにも細かいので、分子同士が吸着する際に発生する力と同じ作用が発生し、どこにでも吸着出来るようになっています。
忍者もスパイダーマンもビックリな生き物ということです。

暗視ゴーグルよりも優秀な目

さらに驚くことに目の機能もヤモリは優秀なんです。
ヤモリは夜行性なので、

夜に物を見分ける能力があるということは察しがつきますよね?

しかし、イモリは物の形だけではなく色まで見分けているのです。
人間を含む多くの生き物は、物を見る時に2つの細胞を使っており、一つは色を見分ける為に使われ、もう一つは暗いところで物の形を見分ける為に使われているのですが、大体はその生き物の生活スタイルに合わせてどちらかに感度が偏っています。
人間は、明るいところで生活をしているので色を見分ける能力に長けている分、暗いところではなかなか物の見分けは困難ですよね。

でもイモリは夜に物を色まで見分けているんです!

しかもこれ、暗いところで物を見分ける能力が凄く発達しているわけではなく、色を見分ける能力が発達しすぎて夜でも色を見分けられるという不思議なもの。
特殊部隊が着けている緑っぽく見えるあの暗視ゴーグルなんかよりよっぽど優秀なんです!

実は外来生物のニホンヤモリ

そんなヤモリ。
古来から日本で親しまれていて、“ニホンヤモリ”なんて名前までついていますが、

実は外来生物と言われております。

江戸時代にシーボルトが日本で見つけて新種と報告したことで、日本にもともといたような印象になってしまいましたが、

実は平安時代以降に中国辺りからやってきたのではないかと言われています。

日本の固有種のヤモリとしては一応、タワヤモリやヤクヤモリというヤモリがいます。
そんな外来生物のニホンヤモリですが、あまりにも身近な生き物過ぎてか、日本のレッドデータで絶滅危惧II類に分類されているのですが、この考え方だと、「ワニガメも駆除という名目で乱獲され日本で絶滅の危機に瀕している」という事になってしまいますね。
基本的に生き物に対して人間がやっている事って全て「人間のエゴ」で片付けることが出来るんでしょうね…。

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古来より親しまれてきた二ホンイモリ

昔から日本で身近に親しまれてきたニホンヤモリ。

人の住環境の周辺に生息しており、害虫を食べてくれているので、「家を守る」と言われており、それが転じて「ヤモリ」と呼ばれ、井戸を守るイモリと同じように古来から親しまれているのですが、家の中に虫が入ってこなくなり、屋外にも殺虫剤を撒くようになった昨今では、

そのありがたみも忘れられ気持ち悪いグループに入れられるようになってしまいましたね。

私は時々窓に張り付いているヤモリを見ていると1時間ぐらいあっという間に過ぎてしまいます。
じっとしていると思いきや家の明かりに寄って来た蛾なんかを素早く捕食する瞬間なんか、私の中ではナショナルジオグラフィックぐらいワクワクしてしまいます。
地域によっては縁起物として扱われることもあるみたいですし、攻撃性もないし、可愛いと思いますよ!
でもまぁ、これは人それぞれですよね。
私は、いくら攻撃性がなく可愛いと言われても、やはり昆虫は苦手です。
苦手な人にとってはそれと同じなんですよね。

ニホンヤモリはペットとして飼える?

ペットショップでは様々なヤモリの種類が買えます。
人気の種類ではおいくら万円の値段がついているヤモリもいますが、二ホンヤモリに限定してペットとして飼えるのかどうかのお話を少ししましょう。
結論から言いますと、

二ホンヤモリもペットとして飼えます。

家を守ってくれそうでなんだか縁起のいいペットとなるかもしれませんね。
ただし、注意が必要です!
基本的に二ホンヤモリは生き餌しか食べません。
餌となる生きた虫を用意できるのなら、飼ってみてはいかがでしょうか?
ちなみに餌となる虫は、民家の周辺に生息している小さい虫なので、虫に抵抗のない方は餌もすぐに手に入るし、飼ってみても楽しいかもしれませんね。

まとめ

二ホンヤモリの紹介をしました。

毎日同じような時間帯に窓に張り付いているヤモリを見ると愛着が湧きますよね。

そんな可愛いヤモリですが、その身体的特徴には驚かされますし、実は外来生物だったという事実にも驚かされますね。

追記(2021年3月12日)

同じくファンデルワールス力(分子同士が吸着する際に発生する力)によってガラス面に張り付くことが出来る生き物として、グリーンアノールも紹介しております。
特定外来生物として小笠原諸島や沖縄で猛威を振るっている生き物ですが、生き物として見てみるととても可愛く面白い生態を持つ生き物ですので、よければ読んでいってください。

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