解き明かされる変色の仕組みと11種類のパンサーカメレオン

解き明かされる変色の仕組みと11種類のパンサーカメレオン

パンサーカメレオンのイラスト

カメレオンと言ったら変幻自在に色を変えられて、目をキョロキョロと獲物が来るのを待ち、獲物が来たら舌を伸ばして捕食するトカゲ。

ちょっと変わった爬虫類ですよね。
その変幻自在さから、幅広い役を器用に演じ分ける俳優の事を“カメレオン俳優”と言ったりもします。
今回はそんなカメレオンの中でもペットとしても人気のパンサーカメレオンの紹介をしたいと思います。
何故パンサーカメレオンなのかには、それほど深い意味はなく、飼ってみようかと検討した事があるという事と、近年面白い発見があったからです。

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パンサーカメレオンの基本情報

大きさ:体長30〜50cm
寿命:5〜8年
生息地:マダガスカル北部

パンサーカメレオンの生態・特徴

マダガスカルの固有種で、独特で鮮やかな見た目から「豹(パンサー)」と名付けられました。

カメレオンの特徴でもあります、後頭部の隆起がパンサーカメレオンではあまり見られません。
主に原生林に生息していますが、二次林でも見られます。
一生のほとんどを樹の上で過ごし、繁殖期に卵を産みに地上に降りてきます。
主食は昆虫で、左右別々に動かすことの出来る眼球であらゆる方向を見、舌を伸ばして捕食します。
動き自体はとてもゆっくりですが、捕食の時の舌の動きだけはとても素早いです。
とても大人しい為ペットとしても人気がありますが、

その人気故に乱獲され個体数は減少傾向にあります。

カメレオン特有の変色ですが、このパンサーカメレオンはとても不思議で、後述しますが、色調の範囲がその生息域により異なります。

どうやって変色しているのか?

そもそもカメレオンの変色ってどういう原理なのでしょうか。

前に色の話で色の見え方に関して軽く触りましたので、色の見え方はこちらを参照にして下さい。

カメレオンが変色する理由は、その皮膚自体に特徴があります。
変温動物には色素胞と呼ばれる色素細胞があり、カメレオンにも例に違わず存在します。
その中の虹色素胞にカメレオンは「ナノ結晶」というものを沢山分布させていて、

このナノ結晶一つ一つが光を反射させており、この結晶の間隔を操作する事で見える色を変化させていたのです。

なので、体の一部を覆い光を当てると、光の当たっている部分の色が変化します。
よく背景にカモフラージュして色を変化しているような感じでイメージされますが、そういう理由で変色しているわけではなく、生理的や精神的な要因による色の変化が大きくなります。
例えば、気温の変化への対応や求愛している時や威嚇している時等。

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カメレオン飼育に際し注意しないといけないこと

この記事ではカメレオンの紹介をするまでにし、詳しい飼育方法をお伝えする事はしませんが、興味を持って飼ってみたいと思った方もいると思いますので、飼育に関する注意点だけお伝えしようと思います。

まず餌に関してですが、慣れれば肉や冷凍の餌なんかも食べるのですが、基本的に生き餌しか食べません。

生きたコオロギを入手するか、コオロギを繁殖させるしかありません。

それでも同じコオロギばかり食べさせていると、飽きてきて食べなくなったり、栄養が偏ってしまいます。
私はこの問題があり、カメレオンを飼う事は諦めました。
虫が大の苦手ですので。

次に水に関してですが、餌も生き餌にしか興味を示しにくいように、

水も動いていないと飲まないのです。

葉っぱの表面に雫をつけて動かすか、霧吹きをするか、ポタポタと雫が垂れる装置を付けるか、貯めた水の表面を揺らす工夫をしなければいけません。
水不足になると、獲物を捕らえる舌にも影響が出るぐらい深刻な問題へと発展します。

環境

最後に環境に関してですが、種類にもよりますが、熱帯にいますので、

寒さに弱いのは当たり前ですが、意外と高温にも弱いのです。

さらに通気性は良くないといけない上に、ある程度の湿度も必要という、かなりのわがままトカゲなのです。
そもそもそういった適した場所に生息している動物を家に持ってくる時点で覚悟は必要なのですけどね。

研究者もビックリ!パンサーカメレオンの種類

さて、パンサーカメレオンの話に戻しますが、このカメレオン、数年前に研究者を驚かせました。
色調の範囲がその生息域により異なると前述しましたが、それが研究者を驚かせる要因でした。
そもそも“パンサーカメレオン”は1種類とされていました。
沢山の色調のカメレオンがいても、色を変化させている1種類のカメレオンと思っていたんですね。
それがどうでしょう、ちゃんと調べてみると、

変化出来る色調の範囲にその生息域による特異性があったのです。

すなわち、ある種類のパンサーカメレオンは「赤やオレンジに変色出来るが青を持たせる事は出来ない」しかし別の種類は「青に変色する事も出来る」といった具合です。
それもマダガスカル、さらには北部という限定的な場所にも関わらずそういった特異性が見つかりました。
何が驚きかというと、

こんな限定的に狭い場所で、DNAグループを11種類にも分けられるぐらい交配がなかったという事です。

パンサーカメレオンの研究においては、隣の木に間違えて移す事でも大変な事になるかもしれませんね。

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