実はロシアにいない説!?ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)は初心者でも飼いやすいリクガメ

実はロシアにいない説!?ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)は初心者でも飼いやすいリクガメ

ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)のイラスト
ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めてから1ヶ月以上が経ちました。
ついに国連人権理事会でのロシアの資格停止が決議されました。
過去4回に渡り紹介してきた当ブログでのロシアにいる生き物も今回がラストとなります。

今回紹介する生き物は、“ロシア”という名を冠していながらロシアにいるのかどうか分からない生き物、ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)です。
※標準和名はヨツユビリクガメなので、以下文中ではヨツユビリクガメとして記載させていただきます。

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ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)の基本情報

大きさ:甲長で17〜28cm
寿命:20〜30年
生息地:アフガニスタン、イラン、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、中国、トルクメニスタン、パキスタン、ロシア(?)

ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)の生態・特徴


ヨツユビリクガメの甲羅、背中は扁平で、お腹には蝶番がありません。
もう少し詳しく見ていきましょう!

名前の由来となった指

通常多くのカメは指の数が5本あります。
しかし、名前の通りヨツユビリクガメは4本しかありません。
また、前足は頑丈なシャベル状で、穴を掘ることに適しています。

どんなところに住んで、何を食べてるの?

主に砂漠気候やステップ気候、地中海性気候の地域にある岩石砂漠やステップに生息しています。
昼行性ですが、夏季は薄明薄暮性(採食・生殖などの活動を主に明け方と夕方に行う性質)傾向が強くなります。
長さ3〜4m、深さ1mほどもある巣穴を掘り、北部や高地に分布する個体群は冬季に、南部や乾燥地帯に分布する種は夏季に休眠します。
ちなみに夏季も冬季も休眠し、3ヶ月ほどしか活動しない個体群がカザフスタンにいます。
食性は植物食で、植物の葉、花、果実などを食べています。

繁殖

ヨツユビリクガメは4月~8月にかけて繁殖を行います。
産卵は土の中で行い、一回の産卵で2~5個の卵を産み、卵は産卵から2ヶ月ほどで孵化します。
雌雄を見分けるには生後1年半以上経過して、性成熟している必要がありますが、性成熟していると尻尾が太く長いオスと、細く短いメスで見分けることができます。

ヨツユビリクガメの分類

ヨツユビリクガメには4つの亜種が存在します。
※亜種を独立種とする説と、亜種の分布の境目や識別形態が重複したり不明瞭なこと、中間型と思われる個体が多いこと、連続的な地理変異である可能性が高いこと、包括的な比較が行われていないなどの問題から、亜種を認めない説の両方があります。

アフガニスタンヨツユビリクガメ

分布:アフガニスタン、ウズベキスタン南部、タジキスタン、トルクメニスタン東部、パキスタン北部
※イラン北東部や新疆ウイグル自治区の個体群はこの亜種に含まれる可能性があります。
特徴
甲高は他亜種と比較すると高く、上から見ると丸みを帯びるが個体変異が大きい。
背甲の色彩は暗黄色や黄褐色(北部個体群)、淡黄色(南部個体群)。
背甲の暗色斑は不明瞭もしくは斑紋がない個体が多い。

バルキスタンヨツユビリクガメ

分布:イラン南西部、パキスタン南西部
特徴
最大甲長20cm。
背甲は扁平で、上から見ると丸みを帯びる。
背甲の色彩は暗褐色で、頭部や四肢も暗色。

カザフスタンヨツユビリクガメ

分布:ウズベキスタン北部、カザフスタン、トルクメニスタン北部
特徴
最大甲長23cm。
背甲は扁平で幅広く、前縁と後縁が直線的で角張っています。
頂部は平坦で、背甲の色彩は明黄色や薄黄緑色などと変異が大きい。
孵化直後からある甲板とその周囲は暗色で、成長に伴い形成された甲板は暗色斑がないかあっても小型。

トルクメニスタンヨツユビリクガメ

分布:トルクメニスタン(コッペターク山脈)
※トルクメニスタン南部広域の個体群をこの亜種とする説もあります。
特徴
最大甲長17cm(トルクメニスタン南部の個体群をこの亜種とすると最大甲長28cm)。
背甲は扁平で、上から見ると丸みを帯びる。
背甲の色彩は黄色で、大型の暗色斑が入り、尾の先端に鉤状の大型鱗がある。

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ロシアにいない!?

ヨツユビリクガメに関するここまでの情報で、疑問に思うことはありませんか?
別名で“ロシア”リクガメの割に、上述の分類を見てもロシアにいる気配がありません。
私はこのリクガメはロシアにいないのではないかと考えています。
まず、ペットとして飼う場合、適している温度は26~30度と高温を好むと言われています。
ロシアでも比較的暖かい場所はありますが、この温度と生息域をクリアしている場所がロシアではほぼありません。
しかも、模式標本の産地はアフガニスタンです。
もうアフガニスタンリクガメでいいのではと思ってしまいますね。
また、ヨツユビリクガメは人なつっこい性格で、飼い主のにおいに慣れて、近づくと寄ってくるようになり、餌を欲しそうにダンスをします。
ロシアの冷徹なイメージとかけ離れていますよね。
まぁ、これは根拠のない偏見ですが。

ペットとして飼う

ヨツユビリクガメはペットとして飼うこともできます。
リクガメ飼育の入門種として紹介されることが多く、日本にも多く流通しています。
値段は10,000~15,000円ぐらいで近所に爬虫類を扱っているペットショップがあれば、大体いるのではないでしょうか。
また、それ故輸送時やキープ時に粗雑に扱われ状態を崩したり、そもそもの生息地の破壊、害獣として駆除とかなり冷遇されている一面もあります。
ちなみにヨツユビリクガメはベランダや庭などの屋外でも飼育することができます。
屋外飼育をすると、ライトでは不足しがちな紫外線を浴びることができたり、広いスペースで運動不足の解消になるというメリットがあります。
庭で可愛いカメを飼うというのは、憧れますね。
ただ、猫やカラスなどの天敵に注意して、網などを張るようにしないといけないし、穴を掘ってどこかにいく可能性を考えると、やはり室内で飼うのがいいのかなという印象があります。

まとめ

ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)の紹介をいたしました。
最大の特徴はやはり標準和名にもなっている4本の指。
立派な前足で土を掘る姿はとても可愛く感じます。
数回に渡りロシアに関する生き物をお送りしました。
人間の愚かな行為がどれだけ地球の資源にダメージを与えるかの気付きになることを願います。

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