ちゃっかり国民的アニマルに!田んぼの生き物ニホンアマガエル

ちゃっかり国民的アニマルに!田んぼの生き物ニホンアマガエル

二ホンアマガエルのイラスト
パッとカエルを想像した場合、どんなカエルを想像しますか?
多くの人はアマガエルだと思います。

家の壁にも時々くっついていたりしますよね?

近くに田んぼがある人は、田んぼに水が張られる頃から秋にかけては、このカエルの鳴き声を聞きながら寝床についている方も多いはず。
今回はそんなアマガエルの中でも特に馴染みの深い、ニホンアマガエルの紹介をします。
特に紹介するまでもないぐらい有名かもしれないですけどね。

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ニホンアマガエルの基本情報

大きさ:平均して体長4m・体重450kg
寿命:数年・飼育下では10年近く生きる個体も
生息地:日本の至る所から、朝鮮半島、中国東部

ニホンアマガエルの生態・特徴


つるっとした皮膚は粘膜に覆われており、

その粘膜は意外にも毒が含まれています。

毒といっても、普通に触る分には問題なく、自身も細菌から身を守るために出しているだけなので、触った手で目を擦ったり、何かを食べたりせずに、触った後はよく手を洗いましょうという事ですね。
もう少し特徴を掘り下げてみましょう。

卵とオタマジャクシ

ニホンアマガエルは卵を水面を泳ぎながら産卵します。
その卵が水面を漂い、水草に絡みついて、約2,3日で孵化します。
孵化すると、あのお馴染みの姿、オタマジャクシと呼んでいる幼生になり、

水中でえら呼吸をしながら、後足が形成され、前足が形成され、と1ヶ月ぐらいかけて変態していきます。

冬眠します

夏は活発に動き回っているニホンアマガエルも、

朝や晩の気温が10℃前後になる時期になるとジーッとし始めます。

そして、最高気温が10℃前後になるとあまり温度変化のない土の中に入り冬眠します。
中には田んぼで生まれ、田んぼの稲刈り時期に死なないように逃げ回り、田んぼの近くで冬眠するという、

「井の中の蛙」ならぬ「田の中の蛙」みたいな可愛いやつもいます。

何を食べているの?どんな生き物に食べられるの?

ニホンアマガエルは生態系の中でも丁度真ん中当たりにいて、その存在自体も意外と必要不可欠なのです。
まず何を食べているかというと、虫です。

それも生きて動いている虫しか食べません。

そして、鳥類や爬虫類、小型の哺乳類、大型の魚類と幅広く食べられている存在なのです。
ニホンアマガエルがいなくなると、虫が増え、餌としていた生き物が減ります。

とても重要なポジションを担っているわけですね。

まぁ、自然界で重要ではないポジションなんて人間ぐらいですが…。
過去にインドでカエルを捕りすぎた為に、蚊が異常発生し、マラリア患者が増えたという例もあります。

広告音とレインコール

カエルの合唱っていう言葉があるぐらい、カエルってよく鳴きますよね。

でも鳴くのって全てオスなのですよ。

ニホンアマガエルのオスは繁殖の時期に、自分の存在をメスにアピールする為に鳴きます。
この鳴き声を「広告音」と言います。
要するに繁殖時期の田んぼって、ものすごい広告の量なんですよね。
読んだことのある人なら分かるかも知れませんが、思わず「ゼクシィか!」ってツッコミたくなる田んぼですね。
…話を戻して、ニホンアマガエルはとても敏感で、低気圧が近づき雨が降りそうになると、広告音と違う鳴き声で鳴き始めるのです。

これを「レインコール」と呼び、これが故に「雨蛙」と呼ばれるようになりました。

ニホンアマガエルの変色って?

ニホンアマガエルも体を変色させる事で有名ですよね?

以前パンサーカメレオンの変色について紹介しましたが、パンサーカメレオンは虹色素胞に沢山ある「ナノ結晶」一つ一つが光を反射させて見える色を変化させているとお伝えしました。

ニホンアマガエルはちょっと違っていて、

環境に応じてホルモンを分泌し、色素細胞を変化させて色を変えているのです。

脳からホルモンを分泌させている分、アマガエルの方が意図して変色させていると言えるでしょう。
簡単に言うと、どちらが変色上手かと言えばカメレオンに軍配があがりますが、どっちが使い勝手がいいかで言うとアマガエルかもしれませんね。
ホルモンが細胞に働きかけている為、時々変異を起こし、青色や黄色の個体が現れる事もあるようですね。

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実は世渡り上手

このニホンアマガエル、

どこでも見かけませんか?

しかもあまり逃げることもなく、昔から子供の遊び相手になっていました。
トノサマガエルの様に近づいたらすぐに逃げるという事もせず、高地や静かな湿地にはあまり寄りつかず、わざわざ人の家の壁に張り付いていたりと、餌を求めて活発に動き回る習性があります。
人間が好き好んで自分を攻撃しないと知ってか知らずか、

田んぼの拡大とともにどんどんとその生息域を広げていき、日本中どこでも見かける様になりました。

実は世渡りの上手いカエルなのかもしれませんね。

カエルの楽園

百田尚樹氏の「カエルの楽園」という小説をご存知でしょうか?

日本の現実を皮肉った内容で、サラッと読める割には日本の将来像を考えさせられる内容で、面白い小説でした。
その小説の主人公ソクラテスというカエルもこのアマガエルで、自分達の故郷をダルマガエルに襲われて、友人のロベルトとともに安息の地を求めて旅に出る話なのですが、百田氏は特にそこを伝えたい部分と考えてはいないでしょうが、動物好きの私としては、この二匹のアマガエルがとてもアマガエルらしい立ち回りで面白かったんですよね。

まとめ

とても身近な生き物ニホンアマガエル。
本当に世渡りが上手いというか、なんというか。
ヘビとかトカゲの様に怖がられず、虫の様に嫌われず、

何なら他のカエルが無理でもアマガエルなら気にしないという方も多いと思います。

貴重がられる事も、邪魔な扱いを受ける事もなく、何とも絶妙なポジションで生きているニホンアマガエル。
きっと当のアマガエル達は、そんな事も気にしていないでしょうけどね。
また、同じアマガエルの仲間で熱帯に棲むアカメアマガエルや、時々日本で「アマガエルだと思ったらこっちだった!」と見間違えてしまうモリアオガエルも紹介していますので、興味がありましたら、見て下さい!

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