“東洋のガラパゴス”といわれる小笠原諸島。
2011年に世界自然遺産に登録されましたが、登録される前に課題となったのが、
この動物だけを見ていると可愛いのですが、日本では厄介な外来生物。
今回はグリーンアノールの紹介です!
グリーンアノールの基本情報
大きさ:18cm前後でオスの方が大きくなる
寿命:飼育環境下で5~8年
生息地:アメリカ合衆国南東部、キューバ、メキシコ、西インド諸島
グリーンアノールの生態・特徴
森林の林縁部や民家の近く、農耕地の周辺の樹木などの樹上に生息しています。
昼行性の変温動物なので、日中は日当たりのいい場所で活動し、夜間は樹木の枝や葉や根の隙間などの狭いところで休息する。
もう少し詳しく見てみましょう!
別名「アメリカカメレオン」
これは、優れた変色能力に起因しており、緑色の体色が周囲の環境や気分によって、背中は薄黄緑色から暗褐色まで、お腹は白色から灰色まで体の色を変化させることが出来ます。
以前、当ブログでもカメレオンやカエルの変色についてお伝えしてきました。
変色について詳しくはそちらを見ていただけると幸いです。
ヤモリのような踵下薄板
グリーンアノールは木登りが上手なことは想像しやすいかもしれませんが、
木登りは器用に鉤爪を使っているのですが、ガラス面への付着はヤモリの指先と同じ踵下薄板が備わっています。
グリーンアノールもファンデルワールス力を使って張り付いているという事ですね。
何を食べているの?
食性は動物食で、樹上性の昆虫類、節足動物等を中心に素早く詰め寄り捕食する。
視覚が発達している為、数m離れたところにいる昆虫類なども見つけて捕食することが出来ます。
オスの咽喉垂と一夫多妻制
画像を見てもらうと特徴的なある部分が目に付くと思います。
オスには喉に特徴的な垂れた皮膚、咽喉垂(デュラップ)があり、これを広げて威嚇や求愛行動をし、雌の首に咬みつきながら交尾します。
以前、一夫多妻制に関する記事でも紹介しましたように、グリーンアノールのオスもハーレムの頂点になる為に過酷な戦いに明け暮れているのかもしれませんね。
繁殖形態は卵生で、10~20日間に1回の間隔で数回にわたり1、2個の卵を地中に産卵します。
特定外来生物だがしかし…
グリーンアノールはもともと日本には生息していません。
日本に帰化しているグリーンアノールは、戦後に運搬された物資に紛れ込んでいたり、ペットとして飼われていたものが捨てられたり、脱走したりした個体が、小笠原諸島の父島、母島や沖縄島に帰化したものです。
2005年に外来生物法により特定外来生物に指定された為、現在では日本国内での本種の流通はありませんが、帰化しているグリーンアノールだけで数百万匹いると言われており、その上で問題なのは日本における生息域での生息密度がかなり高いことです。
これにより、小笠原諸島の父島と母島に生息していたオガサワラシジミという固有種に壊滅的被害を与えており、1990年代までに父島列島で姿を消し、近年母島での確認がないという状況です。
絶滅を防ごうと、生息域外での保全対策にも取り組んでおりましたが、オガサワラシジミの累代飼育を行っていた多摩動物公園と環境省新宿御苑において、
もしかするとすでにオガサワラシジミは絶滅したのではないかという可能性が極めて高まっております。
グリーンアノールの駆除は積極的に行われているのですが、別の厄介な問題も懸念されております。
グリーンアノールの駆除は別の固有種を守るために行われているのですが、すでに生態系の一部に組み込まれている為、グリーンアノール自体を壊滅するまでに駆除してしまうと、
なんとも悩ましい問題ですね。
グリーンアノールの駆除方法
グリーンアノールは樹上に広く分散して生息している為、
基本的には見つけ捕りと粘着トラップによる捕獲が行われていますが、根絶には長い期間と費用を要するでしょう。
ここでも少なからず問題点もあり、
これもまた、なんとも悩ましい問題です。
まとめ
グリーンアノールについて紹介しました!
人間が勝手に持ち込んで、増えたら勝手に嫌っている可哀そうな生き物“特定外来生物”にも指定されている本種。
国外ではハワイ島やオアフ島、グアム島、サイパン島、カロリン諸島のヤップ島などに導入され定着しています。
しかし、これらの島では小笠原諸島のように高密度にはなっておらず、侵略的外来種とは見なされていません。
よっぽど小笠原の環境がグリーンアノールに合っていたのでしょうね!
もともと人間がいないところに人間が移り住んで繁殖することはいいけど、もともとグリーンアノールのいないところにグリーンアノールが移り住んで繁殖するのはダメなんですね。
グリーンアノールは、人間の害獣っぷりがよく分かる可愛いトカゲさんです。