生物としてのオス、人間でいう男がいかに悲しい存在かをお伝えしてきました。
今回はそれを踏まえた上で、さらにオスを必要としない生物から人間の未来の話をしましょう。
聖母マリアという存在
子孫を残す上で、オスはメスの為に作られた存在だという事は紛れもない事実です。
人間の男も例に違わずそうです。
もしここで、オスを必要としない生き物がいたら、世のオスは存在自体が危ぶまれます。
そんな事はないと信じたいところですが、そうは言っていられない事例もあります。
例えば人間の場合、
彼女は、男との間にイエス・キリストを授かった訳ではなく、男と交わる事なくイエス・キリストを授かりました。
生き物の話に神話のような存在を持ち出す事は如何なものかと思いますが、生物学の世界でもまだまだ簡単に説明がつかない事も多々有ります。
人間のそういった例は、少し横に置いておいて、生物学ではこの聖母マリアの処女懐胎に当たる事例を「単為生殖」と呼び、メスだけでも子孫を残す事例が有ります。
オスを必要としない生き残り戦略
ミジンコはメスのみでどんどんと数を増やしていき、個体群の密度が上がるとオスが生まれます。
アブラムシは春に孵化した個体は全てメスで、そのメスはオスを必要とせずどんどんと子孫を残していきます。
アブラムシはテントウムシ等の肉食昆虫の餌になりますが、大して身を守る手段を持ちません。
農作物につくアブラムシを防ぐ手段として、その農作物の脇にヒマワリを植える事で、ヒマワリに寄ってきたテントウムシが農作物に寄る大した身を守る手段の持たないアブラムシを退治してくれるので、よく取られる手法です。
他にも害虫と呼ばれる生き物には、
人間社会のアリ社会化
アリの世界のオスはとても儚いものです。
アリは、産卵行動を行う女王アリと働きアリが大きな群れを作る社会性昆虫です。
どことなく働きアリはオスだと思っていませんか?
オスは産卵の時期にだけ沢山作られ、羽を持つ処女女王アリと空中に飛び出し、交尾をします。
女王アリは一生分の精子を交尾をしたオスから受け取り、地上に降り立ち巣を作り女王アリとして君臨する。
産卵の為に作られたオスは、交尾が出来たオスはもとより、交尾が出来なかったオスもその時点でもう用済みなのです。
巣を守る兵隊アリもメスなのです。
アリの世界において、オスは子孫を残す上で必要だけど、それ以外に必要ありません。
昨今の人間社会においても、女性の方が多岐に渡り優れているだけに、男性が不要のように囁かれています。
男性は年々肩身の狭い思いをする一方ですが、機能的にオスは子孫を残す以外に不要だから仕方がない。
今までは地球上の多くの哺乳類のように、男性は女性を守るものという歴史が続いていましたが、昨今の社会で男女の役割を分ける事はタブーとなっている。
女性はとても優秀ですから、男性社会と言われたものを壊して作り変えていく事も間違ってはいないでしょう。
しかし、それ故に限られた女性にしか子供を作れなくなったのも事実です。
働きアリも兵隊アリも子孫を残す事のないメスのアリで、女王アリのみが子孫を残せます。
人間の社会がちょっとずつアリの社会にシフトしているようにも見えますね。
哺乳類にオスが必要な理由
ミジンコ、アブラムシ、アリとオスを必要としない(厳密には必要ですが)特殊な事例を挙げてきました。
鳥類においても、爬虫類においても、魚類においても、オスを必要としない生き物は多くいます。
では、
それは、単為生殖には欠点があるからです。
数を爆発的に増やせる戦術としては、これ以上にない戦術なのですが、
長い長い進化の歴史の中で、変わりゆく環境に対応する為に遺伝子の交換という戦術が用いられてきました。
哺乳類の様に胎内で子どもを育てるまでになるのに、オスの存在は切っても切り離せませんでした。
世の男性にとってもいい話の様に聞こえますが、人間はいつか来る環境の変化の為に子孫を…なんて考えは微塵もないですね。
まとめ
地球上にいる生物は全て、どうやったら種を未来永劫残せるかを考えています。
人間だけが今を生きているんですよね。
多様な環境をどう生きるかよりも、多様な人間社会に悩まされますよね。
よく、人間は人間が作り出した兵器や人工知能による支配で絶滅する未来が多く語られますが、実はもっとシンプルで、オスとメスと子孫の事を哺乳類としてのレベルで考えていない事が人間が絶滅する原因になるのではないかなと思います。
他にもオスとメスに関する記事を執筆しておりますので、そちらもよろしければ見ていただけると幸いです。