最近金木犀のいい香りが漂ってきますよね。
「いい香りだな」と思っていると、
そんな銀杏ですが、天ぷらを食べに行くと途中でそっと出してくれるのが、私は好きです。
どう美味しいかと聞かれると、難しい、そんな銀杏についてお伝えしましょう。
銀杏とは?
銀杏とは、イチョウの種子です。
銀杏と書いて「イチョウ」と読むのですが、
かつてイチョウ科の植物は、恐竜の時代に世界的に繁栄していました。
しかし、
オオサンショウウオやシーラカンスのように、生きた化石と呼ばれる生物の一つなのです。
銀杏髷
少し話が脱線しますが、
江戸時代の男性の髪型で、私達が「ちょんまげ」と言っている髪型は、本来の呼び方で「銀杏髷(いちょうまげ)」と呼びます。
今でも力士が結う髷の事を、その大きさから「大銀杏」なんて呼んでいますよね。
なんで臭いの?
話を戻して、銀杏で真っ先に気になる事といえば、その臭いですよね。
銀杏の臭いが、鼻をふわっとかすめた瞬間、「どこや?」とイチョウを探してしまいます。
その理由は、酪酸とエナント酸という成分によるもので、あの嫌な臭いを出している理由は動物に食べられないようにするという理由なのです。
あのカラスまで嫌がる臭いみたいですね。
どこからあの臭いが出ているかと言いますと、熟して軟らかくなった果肉の部分です。
それを、
では、その酪酸とエナント酸とはどんな臭いなのかを掘り下げてみましょう。
酪酸(ブタン酸)
牛乳が腐ったような臭いで、バターから得られたためこの名前がつきました。
皮脂にも含まれ、足の臭いの原因にもなります。
エナント酸(ヘプタン酸)
こちらも足の臭いの原因となります。
タバコの添加物の一つにも用いられています。
銀杏の悪臭時期
では銀杏の臭いが気になる時期はいつでしょうか。
熟した果肉から臭いが出ているとお伝えしましたので、臭いが気になる時期は果肉が熟して落ちる頃です。
イチョウは葉が黄色く色付く前に、実を落とすので、
持ち帰る人達
銀杏は臭いけど好きな人が多く、私もその一人です。
最近ではそういった強者も少なくなりましたが、私が子供の頃は銀杏拾いをしている人も結構いた記憶があります。
これに関して、一つ注意して頂きたい事があるのですが、もちろん銀杏を収穫して売り物にしていないイチョウ並木のような場所では、銀杏拾いをしても犯罪にはなりませんが、
もし銀杏拾いに行って、全然落ちていないからと言って、木になっている銀杏を取ると大変な事になりますので、注意してください。
銀杏中毒
食べたら美味しい銀杏。
様々な食べ方がありますが、
日本中毒情報センターでは、銀杏の経口摂取に以下の量で毒性があるとされています。
成人:40〜300個
意外と範囲は広いので、個人差や健康状態に左右されるのでしょうが、
何でも、食べる量には注意が必要という事ですね。
中毒症状としましては、主に嘔吐や痙攣等が挙げられるみたいです。
戦後の食糧難の時代に銀杏による中毒症が多発したみたいで、近年でも子供を中心に中毒症で稀に死亡例もあるようなので、特に子供に食べさせる際は気をつけたいところです。
臭いのしないイチョウ並木
臭いのする銀杏の実は雌株だけに結実するので、現在では多くのイチョウ並木で臭いのしない雄株のみ植樹、または植え替えをするという対策が取られています。
臭いによる苦情や、銀杏の実で車がスリップするような事故への対策なのですが、銀杏拾いという秋の風物詩が無くなる事は少し寂しいような気がしますね。
まとめ
銀杏ってそっと出されたものを食べると、どこが美味しいのか分からないけど、美味しいんですよね。
ただ食べ過ぎによる中毒には注意しないといけないし、その独特の臭いが嫌悪感を示す方も多いと思います。
人間社会の今の時代にマッチしないイチョウ。
氷河期を生き抜いた生きた化石も、人間にとって不快だと生きていくのも大変なのですね。
秋にちょっと臭いだけなのに、寂しいものですね…。