ヒナの可愛さに癒されるコウテイペンギンは世界一過酷な子育てをする鳥!?

ヒナの可愛さに癒されるコウテイペンギンは世界一過酷な子育てをする鳥!?

コウテイペンギンのイラスト
皆様好きですよね、ペンギン。

あのヨチヨチと歩く飛べない鳥に、今までどれだけ癒されてきたことか。

そんなペンギンでも、コウテイペンギンは世界で最も過酷な気候で子育てをする鳥と言われており、

当の彼らはなかなか癒される瞬間がありません。

今回はそんなコウテイペンギンの紹介です。

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コウテイペンギンの基本情報

大きさ:全長(クチバシから尻尾まで)1~1.3m、23kg前後
寿命:15~20年
生息地:南極圏

コウテイペンギンの生態・特徴

現在生きているペンギンの中で最も大きいコウテイペンギン。

頭とフリッパー(ひれ状の翼)の外側は黒色で、胸は黄色、お腹とフリッパーの内側は白色、耳の周辺と下のクチバシの一部オレンジ色というクールな配色。
オウサマペンギン(キングペンギン)に見た目が似ていますが、コウテイペンギンの方が大きい。
ヒナの見た目は、

コウテイペンギンはあの灰色なのに対し、キングペンギンは茶色。

他の特徴も見てみましょう!

潜水能力

水中で飛ぶように泳ぎ回るコウテイペンギン。
最大で水深564mまで潜水したという記録がありますが、水深の浅い大陸棚の周辺に好んで生息している為、そこまで深くは潜水しません。
潜っている時間は大体2分~4分程ですが、27分以上潜ったという記録も残っています。

何を食べているの?

コウテイペンギンは魚を主食としており、オキアミ等の甲殻類やイカ等も食べています。

メスがヒナの為に餌を捕らえた場合は、胃に貯蔵しておき、それを吐き出してヒナに与えます。

オスは抱卵中、

雪しか食べられない日が続きます。

天敵は?

コウテイペンギンの天敵はシャチやヒョウアザラシやサメですが、卵やヒナはオオフルマカモメに狙われ、弱ったヒナはトウゾクカモメに狙われます。
南極という厳しい環境下の中にいて、意外と天敵が多い印象がありますね。
また、卵に関しては他の個体が暴れることやメスとオスの卵の受け渡しの際に割れることがある(コウテイペンギンはオスだけが抱卵する)ので、敵は身内にもいるということになります。
ちなみに、繁殖に失敗した親は他の親から卵を奪おうとし、その際に割れてしまうこともあります。
もしかすると、

天敵に狙われて命を落とすよりも、事故で命を落とすことの方が多いかもしれませんね。
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世界で最も過酷な子育てをする鳥

映画【皇帝ペンギン】を観たことはあるでしょうか?

私もこの映画で泣いてしまった一人なのですが、観た人の多くが涙を流したぐらいコウテイペンギンは過酷な状況下で子育てをしています。
コウテイペンギンはペンギンの中でも唯一氷の上で繁殖を始めます。
零下数十度の氷原で繁殖をすることが“世界で最も過酷な子育てをする鳥”と言われる所以ですね。
ちなみに、同じ南極に住むアデリーペンギンは夏に地面が露出した海岸で繁殖をします。
どちらも一長一短で、アデリーペンギンは海岸沿いであるがゆえにトウゾクカモメと常に戦っており、コウテイペンギンは餌不足と寒さと常に戦っています。
秋(3~4月)になるとコウテイペンギンは海岸から夏になっても氷の溶けない内陸部に移動し、5~6月にメスは卵を1つだけ産みます。

メスは産卵後餌を求めて海に出るので、オスが抱卵を行います。

コウテイペンギンの抱卵は、足の上に卵を乗せ、お腹の皮を使って温めます。
ブリザードが吹き荒れても、身を寄せ合い、上述したように雪を食べながら、立ったままエネルギー消費を抑えるため睡眠に近い状態で抱卵が行われます。
卵が孵ってもまだメスが戻ってこない場合は、オスが食道から分泌したペンギンミルクと呼ばれている白い乳状の物質を与えます。
メスが帰ってくるとヒナへの餌やリはメスが行い、オスは自身の餌を求めようやく海に出ていくのですが、

100km以上内陸にいることも多く海に出るまでに死んでしまうオスもいます。

海に行ったオスはメスと同じように胃の中に餌を貯蔵し、戻ってきたらヒナに与えます。
次はメスが餌を求め海に出るということを繰り返し、ヒナが大きくなってくるとオスとメスが両方とも海に出ます。
この時残されたヒナ同士が集まりクレイシ(保育所という意味)という集団を作るのですが、これがなんといっても可愛い!
そしてヒナの成長とともにこのクレイシは海岸へ移動し、成鳥の羽に換羽すると海に旅立ちます。

日本で飼育されたコウテイペンギン

日本で初めて飼育されたコウテイペンギンは1954年の恩賜上野動物園で飼育された個体でした。

飼育下での長期生存例として有名なのは、長崎水族館で飼育されていた「フジ」という個体で、1964年~1992年まで飼育されていました。
死後に剥製となり、現在でも長崎水族館で大切に保存されております。
その個体が死亡したことで、一時的に日本で飼育されているコウテイペンギンはいなくなりましたが、1997年に南紀白浜のアドベンチャーワールドで20羽のヒナの飼育が開始されました。
その後、感染症の危険を分散させるため、6羽が名古屋港水族館に引き取られました。
現在日本でコウテイペンギンに会える施設はこの2か所です。

アドベンチャーワールドでは繁殖にも成功しております。

アドベンチャーワールド

パンダやイルカをはじめ、陸・海・空のさまざまな動物たち、自然とのふれあいをテーマにした和歌山県 南紀白浜のテーマパークです。
公式ホームページはこちら

名古屋港水族館

様々なイベントやプログラムを通して、海の生き物の生態や進化の秘密を発見できる水族館です。
公式ホームページはこちら

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世界一有名なコウテイペンギン「ハッピーフィート」

ところで、

世界一有名なコウテイペンギンと言われたペンギンはご存じですか?

2011年にニュージーランド北島にある首都ウェリントンの北40キロの海岸に南極からたどり着いたと思われるコウテイペンギンが現れました。
南極からは3,000kmも離れている小さな浜辺で発見されたことで、世界中で話題となり、「ハッピーフィート」と名付けられました。
南極への帰路の途中で消息不明になってしまいましたが、こういったニュースはいつの時代もどこの国も癒されるものですね。

日本でも多摩川のタマちゃんというアゴヒゲアザラシが同じような迷子動物として有名になりましたね。

ちなみに、ニュージーランドにはコガタペンギン(ブルーペンギン)と呼ばれる世界最小のペンギンが生息しています。
以前ミルフォード・サウンドで遠くに去っていく後ろ姿だけは見れたのですが、一度間近で見てみたいですね。
写真も撮れなかったので、いつか自然のペンギンに会いに旅行したいです。
ハッピーフィートが流れ着いたニュージーランド、コガタペンギンを見ることが出来たミルフォード・サウンドに興味を持っていただいた方は、こちらも是非ご覧ください。

北半球に住む私達にとって、自然下のペンギンには憧れがありますよね。

まとめ

世界で最も過酷な子育てをする鳥、コウテイペンギンについてお伝えしました。
潜水能力の高さにも驚かされますが、

氷原で子育てする姿は自然下での生き物の生き残り戦略や命の尊さを垣間見える瞬間です。

国内で現在コウテイペンギンに会える場所は、2か所しかありません。
ブリーディングローンを導入したりと、個体を増やそうとしていますが近い将来日本でコウテイペンギンを見ることは出来なくなるかもしれませんね。
また、コウテイペンギンに出会えるツアーみたいなものもあるようです。

時間と体力と金銭面の余裕がある方は一度行ってみてはいかがでしょうか?
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