煌びやかな色を持ち長江に生息する魚イェンツーユイ

煌びやかな色を持ち長江に生息する魚イェンツーユイ


北京2022冬季オリンピックもついに閉幕しました。
沢山の感動をありがとう!
そしてオリンピックに便乗して、数回に渡り中国の生き物の紹介をしてきました。
今回は中国のちょっと変わった魚を紹介したいと思います。
イェンツーユイ。
噛んでしまいそうな名前ですがとても綺麗な魚です。

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イェンツーユイの基本情報

大きさ:60cm〜1m
寿命:25年以上生きると言われています
生息地:中国の長江

イェンツーユイの生態・特徴

コイ目サッカー科に属する魚類の一種。
ほとんどの種が北米に生息するサッカー科の中で唯一中国に生息しています。
もう少し詳しく見てみましょう。

アジアの人魚姫

イェンツーユイは背びれの前側が帆のように高く突き出しているのが特徴的で、煌びやかな色彩を持つことから、「アジアの人魚姫」と呼ばれています。
この特徴から英名では“Chinese high fin banded shark”と呼ばれていますが、この背びれは生魚になるにつれて低くなっていきます。

かつては別種とされていた幼魚と成魚

幼魚には三本の黒い横縞があります。
幼魚と成魚で体色や形態が異なるので、かつて別種として扱われていました。

食性と生息域

イェンツーユイは長江の上流から中流域、またその支流や湖などに生息していて、主に昆虫を食べていますが、藻類やデトリタスも食べています。
幼魚の頃は流れのゆるやかな岩の多い浅い水域に生息していますが、成長とともに深いところに移動していきます。

長江流域の希少動物

中国最大の河川である長江。
地理の授業でもその名前が出てきて聞いたことがある方も多いと思いますが、この長江、生物多様性の典型と言えるぐらい中国の多くの希少動物の生息地となっています。
統計データによると、長江流域の淡水魚は378種に達し、そのうち固有種は142種にのぼると言われており、さらにそのうちの14種は国家一級保護動物か国家二級保護動物に指定されており、絶滅の恐れがあるとされています。
イェンツーユイも例に違わず、国家二級保護動物として保護されております。
つい数年前に長江の固有種、ハシナガチョウザメが絶滅したという報告がありましたし、イェンツーユイもしっかりとした保全活動で個体数を回復させてほしいですね。

食べたら美味しいの?

そんな国家二級保護動物として保護されているイェンツーユイですが、食用目的で養殖も行われております。
味も美味しいそうで、また見た目もいいですからね、もしかすると春節の魚料理にイェンツーユイが出てきたらとてもハッピーな気持ちで1年を過ごせる魚なのかもしれませんね。

繁殖

産卵は3~4月頃で、雌は水が澄み、水位と温度が一定であるような流れのある浅瀬に卵を産みます。
卵は一週間ほどで孵化し、その後の成長は早く、1年で20cm程度、3年で50cm程に成長し、この頃には幼魚に見られる帯も消失します。

まとめ


イェンツーユイの紹介をさせていただきました。
長江では持続可能な漁業を復活させるため、現在10年の禁漁期間に入っています。
長江流域の魚の減少のその背景には三峡ダムの建設がよく取り沙汰されていますが、ダムは水力発電というクリーンエネルギーを確保するために建設されました。
そう考えると、単純にクリーンエネルギーにするのが持続可能な開発かというと、そうではないという難しい問題に直面します。
イェンツーユイを通して、将来のことを考えるきっかけとなりました。

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