ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。
一方その頃ロシアのバイカル湖では今日も可愛い生き物に出会えます。
前回のチョウセンスズガエルに続き、ロシアで見られる生き物をお送りします。
今回はバイカルアザラシです。
バイカルアザラシの基本情報
大きさ:体長100〜140cm、体重50〜90kg
寿命:50年
生息地:ロシアのバイカル湖と周囲の河川
バイカルアザラシの生態・特徴
バイカルアザラシは他のアザラシより小型で、体毛は全体的に暗い灰褐色です。
黄色がかった灰色が脇腹に入り、鰭状の前肢は大きく発達し、鋭い爪を持っています。
もう少し詳しく見てみましょう。
大きな眼
バイカルアザラシをパッと見た時、どんな印象を受けますか?
眼が大きくエイリアンみたいな印象を受けることもありますよね。
この大型化した眼球は、透明度の高いバイカル湖の水中において、視覚で獲物を探すのに有利に働いています。
また、その眼球を収めるために眼窩に挟まれた前頭骨はわずか3mmほどの幅に狭められており、同時に眼窩後方に存在する顎を動かす側頭筋の付着部も小さくなっています。
ギザギザの歯
歯は特殊なギザギザになっており、小さな獲物を捕らえた時に、口の中から水を排出するのに役立っていると考えられています。
何を食べているの?
バイカルアザラシはバイカル湖の生態系の頂点にあるとされ、肉食性で、主にカジカやハゼなどの魚類や甲殻類などを食べており、採餌は主に夕暮れや夜間に行われています。
近年の研究で、浮遊性のヨコエビの一種を1日に4,300匹も捕食していることが明らかになり、魚類より栄養段階の低いヨコエビを捕食することが栄養の乏しい環境で繁栄できる要因の一つではないかと考えられています。
また、バイカルアザラシの外敵として時折ヒグマが挙げられますが、毛皮を目的とした乱獲や漁具による事故、環境破壊などによって、バイカルアザラシの数が減少しています。
この生き物もまた、1番の敵は人間なのでしょうね。
現在ではロシア政府の許可により、年間3,000頭の商業捕獲が行われている。
世界で唯一の淡水のみに生息するアザラシ
バイカルアザラシは世界で唯一淡水のみに生息するアザラシです。
サイマー湖、ラドガ湖にもワモンアザラシというアザラシが生息していますが、ワモンアザラシは海水と淡水の両方に生息します。
北極海のアザラシが河川を辿ってバイカル湖に達して陸封されたことで独自の進化を遂げたとされていますが、詳しくは分かっておりません。
潜水は得意で、数十分の間潜水することが可能で自由に水中を動き回れます。
現在9万頭ほど棲息しており、夏期は湖全体に分布するが、冬期には北部へ集まり、そこで越冬します。
繁殖と白いふわふわの子ども
行動は単独で行いますが、繁殖は一夫多妻で行い妊娠期間は9ヶ月ほど。
白い毛皮を持つ子どもを普通は1頭出産するが、時々双子を出産する。
出産は2~3月頃で、生まれたばかりの子どもの体重は4~5kgほど。
ふわふわの毛に覆われてクリクリした眼を持つアザラシの子どもは可愛いけど、このバイカルアザラシの子どもは若干おっさん顔。
だけど愛嬌があり好奇心旺盛な性質も相まってやっぱり可愛い。
毛皮は6〜8週間後に大人と同様の灰褐色のものに生え変わる。
子どもは氷に掘られた巣穴の中で育てられ、2~3ヶ月ほどの間授乳され、徐々に魚やエビなどの甲殻類を食べるようになり、氷が解ける頃には独立します。
雄は4~7年、雌では3~6年で性成熟し、大きいものは体重100kgを超えて成長します。
寿命は50年ほどで、これは他のアザラシに比べて長い。
日本だとどこで見られるの?
バイカルアザラシは日本の幾つかの水族館等施設で展示されており、もしかすると気が付かないうちに見ている可能性があります。
この記事を読んで水族館に出かけられた際には、是非バイカルアザラシをよく観察してみてください。
また、全国的にアザラシにショーをさせている施設は多くありますが、このバイカルアザラシはショーをさせるのが難しいと言われています。
そんなバイカルアザラシのショーに日本で初めて成功させたのが箱根園水族館です。
2008年4月から行っているアザラシショー。
頭に手ぬぐいを乗せ徳利を入れた風呂桶を持って泳ぐ姿は、俗に“温泉アザラシ”なんて呼ばれていて、温泉地箱根ならではで可愛いです。
公式ホームページはこちら
また、本場ロシアのバイカル湖のそばにアザラシ館というものがあり、水中でさまざまな芸を披露してくれるようです。
早く戦争が落ち着いて行けるようになるといいですね。
まとめ
バイカルアザラシの紹介をしました。
ロシアにはアザラシにちなんだ古いおとぎ話や迷信が多いようで、いかにロシアにとって馴染みある生き物かとということが分かりますね。
ユーラシア大陸の最東端に位置するチュクチには、この地球上の全ての生き物は大きなアザラシから生まれたという伝説まであります。
また、アザラシの子どもの澄んだ眼に見つめられると心が洗われるような感覚になりますよね。
プーチン大統領にアザラシの赤ちゃんを見せてみてはどうかなと思います。
もしかするとアザラシの赤ちゃんを見て、この子達を守るために戦争しなければならないという考えに至ったのかもしれませんが…。
難しいですね、人間という生き物は。