政府に対する反発を表すデモ抗議に、エマニュエル・マクロン仏大統領は2日に、緊急協議を行う事態となりました。
シャンゼリゼ通りや凱旋門が悲惨な状況となっているニュース映像にショックを受けますよね。
一体何故このような事態になったのか、その理由と、これからのマクロン大統領の動向に関して考えてみましょう。
“ジレ・ジョーヌ”による3週連続のデモとその経緯
今月12月1日にフランスで起きた抗議デモは、3度目のデモとなります。
毎週末行われるこのデモ、日本でも「“ジレ・ジョーヌ”による抗議デモ」と報道がされていますが、これはそういう名前の活動団体の呼称ではなく、
今回の抗議デモは、マクロン政権による政策の一環で、燃料税の引き上げに端を発しています。
これだけを聞くと、国民全員の負担が増すような印象がありますが、フランスでは低所得層を中心に燃料費の安いディーゼル車の普及率が高いという現状があります。
しかし、この燃料税の引き上げから、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売そのものを終了しようとしているのです。
要するに、
それにより、労働者を示す黄色のベストを着た抗議行動が広まっていき、ついには10万人を超えるデモ隊とまで発展したのです。
カッスール(壊し屋)という存在が事態を大きく
この抗議デモにより、現時点まででも、
とてつもなく大きな抗議運動に発展している事が伺えますが、実は“ジレ・ジョーヌ”での抗議運動を起こしている多くの方は平和的に抗議活動を行っています。
しかし、ニュースで見る光景は、
実は、平和的に抗議活動を行っている方達に混じって、破壊行為や警察との衝突を目的とした活動家がいるのも事実です。
カッスール(壊し屋)と呼ばれるその活動家達は、12月1日にデモではジレ・ジョーヌが到着するよりも早く、シャンゼリゼ通りで活動を始めたのです。
しかも、タチの悪いことに、
ここに後から来たジレ・ジョーヌもその光景に興奮し、暴徒化していった者も現れ、事態はさらに大きくなってしまいました。
マクロン大統領の支持率とフランス
この事態にマクロン大統領も、「反対意見は受け入れるが、暴力は認めない」と表明し、抗議デモが繰り広げられたパリ市内を視察して周りました。
まだまだ、沈静化に程遠いこの問題に、どのような対応策が出されるのか気になるところです。
そんなマクロン大統領ですが、支持率はみるみる低下しており、
痛みを伴う改革はどこの国民も受け入れ難いものがあるようです。
そして何よりも懸念されるのは、痛みを伴う改革に不満を持ち抗議をする事で、さらなる痛みが伴うという事。
今どこの国もクリスマス商戦真っ只中。
観光地でもあり、首都でもあるパリで、この時期にこのような事態になる事で経済へのダメージがどれほど大きい事になるか。
そして、
EUのリーダーが不在に?
さらにフランスだけの問題として片付けられないのが、
ドイツのメルケル首相が失墜した今、EUのリーダーとした期待されていたのは、他でもないマクロン大統領でした。
今回のこの事態がEUに及ぼす影響を考えると、そこからさらに発展し、世界経済にまで影響が及ぶのではないかと思います。
まずはフランスの政府と国民との溝をどう埋めるか、そしてEUを引っ張っていけるリーダーの誕生がEUの未来には必要不可欠となるでしょう。
まとめ
3週に渡り、フランスで大規模な抗議デモが起こりました。
観光地としても有名な、
そして、その発端となったのが、燃料税の引き上げによる低所得層の不満が爆発したこと。
まだまだ事態の沈静化は先になりそうですが、そこから懸念されるEUの未来。
「“花の都”パリで抗議デモ!」と日本に住んでいては何気ないニュースですが、結構考えさせられる問題でもあります。
頻繁にニュースやワイドショーでも、「この政策が与える影響は〜」という感じで、低所得層の更なる貧困が懸念される中でも、まだ政治に対しての無関心さが目立ちます。
それでも「東京で大規模デモが!」という事態にならない事を考え、マクロン大統領の目線に立つと、やるべき事は国民を自国に無関心の平和ボケ状態にさせる事かもしれませんね。
私自身それ程多くの国を見てきた訳ではありませんが、今まで訪れた事のある国はいずれも、「私達の国の政治はこうで〜、こういうところが〜」と言った意見を持っている方が多かったです。
私達日本人は、訪れる外国人にそういった不満を漏らす姿をなかなか想像出来ないですよね。
今回のフランスでの抗議デモが良い事とは言えませんが、こうやって政治に関心を持つ事は大事だと感じました。