どうする日本!EU加盟27か国の再生可能エネルギーの割合が化石燃料を上回る

どうする日本!EU加盟27か国の再生可能エネルギーの割合が化石燃料を上回る

再生可能エネルギーのイラスト
EU(欧州連合)首脳は先月ブリュッセルで開かれた首脳会議で、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年の水準から少なくとも55%の削減を目標とすることに合意しました。
そして昨日、2020年のEU加盟27か国の再生可能エネルギーの割合が化石燃料を上回るというレポートが、イギリスとドイツのシンクタンクにより公表されました。

世界中で取り組まれている発電源の再生可能エネルギー化。

話題となったレポートの概要とこの結果をもたらした背景、そして日本での再生可能エネルギー導入はどこまで進んでいるのかを解説します。
「再生可能エネルギーとは?」と今更聞けない内容も解説しております。

Advertisement

概要

イギリスとドイツのシンクタンク、エンバーとアゴラ・エネルギーウェンデが25日に公表したレポートによると、2020年のEU加盟27か国の発電源に占める再生可能エネルギーの割合が化石燃料を初めて上回り、その内訳は、

風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーの割合が38%、石炭やガスなどの化石燃料は37%でした。

発電源に占める再生可能エネルギー発電の割合をEU加盟27か国の国別で見た場合、デンマークが最も高く、発電源の61%を占め、アイルランドの35%、ドイツの33%が続いた。
それに対し、発電源に占める再生可能エネルギー発電の割合が最も低かったのはスロバキアとチェコで、ともに5%を下回りました。

背景

世界規模で再生可能エネルギーの割合を増やす努力が求められる中、

EU諸国はどのようにして化石燃料の割合を上回ることが出来たのでしょうか。

その背景として、まずは新規の再生可能エネルギー事業が稼働していく中で、石炭による火力発電が縮小したことが挙げられるでしょう。
また、再生可能エネルギー発電の割合でEU諸国を牽引するかたちとなったデンマークと言えば、エネルギーのグリーン化を推進する原動力となる、

洋上風力発電の拠点となる2つの“エネルギー島”を昨年2020年に建設したことが記憶に新しいですよね。

これらも再生可能エネルギーの割合を61%にまで押し上げた背景の一つと見ることが出来るでしょう。
全体的にEU諸国で風力や太陽光などの発電が増えており、いずれも2015年以来ほぼ2倍に増加しており、これは昨年の発電量の5分の1を占めました。
その一方で、石炭による発電は20%減り、欧州の発電量に占める割合はわずかに13%となりました。
他にも、新型コロナウイルス対策でロックダウン(都市封鎖)という対策をとった国も目立ちました。
これにより電力需要が減ったという見方が出来るかもしれませんが、シンクタンクによる同レポートによると、「確かに昨年の電力需要は4%減りましたが、再生可能エネルギー発電に新型コロナウイルスの影響はない」という見方です。

Advertisement

再生可能エネルギーとは?

日本でも温室効果ガスの削減は頭を悩ませる問題です。
温室効果ガス排出量を減らすには、“化石燃料”から“再生可能エネルギー”への代替が必要不可欠です。
では、

この“再生可能エネルギー”とは一体どのようなエネルギーを指すのか。

まずはそれを知るところから始めてみましょう!
化石燃料とは、石炭、石油、天然ガスや、近年利用が検討され始めているメタンハイドレート、シェールガスなどを指します。
一方再生可能エネルギーとは、

「太陽光、風力その他“非化石エネルギー源”のうち、エネルギー源として永続的に利用することが出来ると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。

ここで言う“非化石エネルギー源”とは、石炭や石油などの化石燃料を使わないで作ることのできるエネルギーのことで、再生可能エネルギーのほかに原子力エネルギーが含まれます。
具体的に挙げると、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他の自然界に存する熱、バイオマスによって作ることのできるエネルギーを指します。
太陽光や風は枯渇する心配のないエネルギーで、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出や、環境への負荷がほぼなく、何度も繰り返し作ることができるため、“再生可能エネルギー”と呼ばれています。

日本での再生可能エネルギー導入はどこまで進んでいるのか

アメリカではここ数年で再生可能エネルギーの消費量が石炭発電の消費量を上回るようになりました。
“化石燃料”全てで見ると、まだまだですが、少しずつ再生可能エネルギーの割合が増えていっているのが見て取れます。

一方日本はどうでしょうか?

2019年度、日本の発電源に占める再生可能エネルギーの割合は18.5%です。
ここ数年で増加してはいるものの、主要国と比べると再生可能エネルギーの比率は低く、更なる導入拡大が求められます。
ちなみに、販売電力量の多い電力会社は2030年までに再生可能エネルギーの割合を22~24%以上にすることが義務付けられています。
また、最近では菅首相が2020年10月の所信表明にて、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロとする」と述べたこともあり、

再生可能エネルギー促進の動きは今後より強まっていくと見られています。

まとめ

2020年のEU加盟27か国の再生可能エネルギーの割合が化石燃料を上回るというレポートの概要と背景、そして日本での再生可能エネルギーに関してお伝えしました。
風力や太陽光の成長が化石燃料を衰退に追い込むことが出来ます。
再生可能エネルギーは、

そもそも資源の少ない日本にとって国内で生産出来る貴重なエネルギーなので、率先して取り組むべき問題だと思います。

例えばチェコに関して考えてみた場合、前述しました通り再生可能エネルギー発電の割合が5%を下回っておりますが、チェコは豊富な石炭を有しております。
資源があるのに使うなと言われているわけです。

一方日本はどうでしょう?

極端な話をするならば、再生可能エネルギーを100%にすることで、日本は化石燃料の輸入を極限にまで抑えることが出来るはずです。

追記(2021年3月9日)

再生可能エネルギーにおける最大の夢の計画、“宇宙太陽光発電”に関しての解説も執筆しておりますので、よろしければ一緒に見ていただけると幸いです。

Advertisement

時事ネタカテゴリの最新記事