ドナルド・トランプ米大統領は10月20日、
理由は「ロシアの条約違反」としていますが、一体この事がどういった事態を招くのでしょうか。
少し考えてみましょう。
中距離核戦力(INF)全廃条約とは
そもそもこの中距離核戦力(INF)全廃条約というものが一体どういうものなのかをまずは簡単にお伝えします。
中距離核戦力全廃条約(Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)とは、アメリカと旧ソ連の間で結ばれた軍縮条約の一つです。
1987年12月8日に当時のロナルド・レーガン米大統領とミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長によって調印された。
この条約では射程が「500km〜5,500km」までの範囲の核兵器の廃棄を求めています。
これにより、
トランプ氏の主張
トランプ氏の主張はこうです。
「アメリカは条約を守ってきたがロシアは守ってこなかった」
米政府は以前より、ロシアが新型巡航ミサイルを開発し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国をごく短時間で核攻撃できるようにした事を指摘しており、これによりロシアが条約を守ってこなかったとしたのです。
ロシア側はこれを条約違反に当たらない事を主張していますが、以前からプーチン大統領も、
INF全廃条約離脱による影響は?
では一体、
まず考えられる事は、アメリカが大手を振って核兵器を製造出来るようになるという事。
そして、製造した核兵器を販売出来るようになるという事。
軍縮の条約から離脱する事で、
軍縮に向けた考えとは真逆へと進むこの流れは、当然将来的に日本にも影響が出るでしょう。
ロシアの反応
多くの専門家は、“離脱”ではなく、ロシアに対して改めて条約の履行を求めるべきだと主張しています。
これまでの軍縮に向けて世界各国で強調していこうという考え方が無くなってしまうからだ。
アメリカが核兵器を製造・販売出来るようになると、ロシアも対応せざるを得ない状況に追い込まれる。
冷戦の時代に、軍事競争を抑制するための様々な条約が締結されてきましたが、
敵はロシアから中国へ
冷戦の時代に軍事縮小の体型が整えられてきたと上述しましたが、これはアメリカとロシアの2つの強大な国があったからです。
ここで考えてみて欲しいところで、
それは、中国です。
アメリカとロシアはINF全廃条約があり、軍事を縮小せざるを得ません。
しかし、ここに中国は関係なく、
このままではINF全廃条約が足枷となり、中国に対して不利な状況に追い込まれるという懸念が生じます。
INF全廃条約の離脱は、アメリカにとって最大の敵がロシアから中国と変わってきたと言えるでしょう。
トランプ氏の本当の狙い
「アメリカは条約を守ってきたがロシアは守ってこなかった」、だからINF全廃条約から離脱すると主張したトランプ氏ですが、本当にそうでしょうか?
本当の狙いは、
軍拡競争が進んでも、各国の利益を考えると、兵器による牽制が進むだけで、いわゆる“冷戦”と呼ばれる状態が、世界各国で起きるのではないでしょうか。
この時に、
落とし所を探りながら儲け、強いアメリカへと発展させる事を考えているトランプ氏。
この考え方を好きになれない人はとても多いでしょう。
私もあまり好きではありません。
しかし、人間の本性を知り、綺麗事で政治をしようとしない姿勢は、ある意味すごいと思わざるを得ません。
誰だって綺麗事を語る政治家の方が好きですからね。
まとめ
中距離核戦力(INF)全廃条約という私たちにはあまり関係のない条約のように思えますが、その一方で中国という存在もあります。
今まではINF全廃条約があることによって、アメリカは中距離ミサイルを売ることが出来ませんでした。
しかし、販売する武器リストに中距離ミサイルが加わった時、
例えば、隣国が中距離ミサイルをこちらに向けていたら、
さらに行き着くところまで行けば、核弾頭付きの中距離ミサイルを様々な国が保有出来るようになるかもしれません。
私達が住む日本はどう対応していくのでしょうか、不安で仕方がないですね。