毎年年明けの風物詩となった一番マグロの初競。
昨年10月に移転を遂げた豊洲市場にとっても初となった一番マグロの初競は、
そんな一番マグロの初競の気になる部分を取り上げてみましょう。
一番マグロとは?
「そもそも一番マグロって何?」というところから見ていきたいと思います。
マグロの一番という事になるのですが、その一番は大きさや美味しさという部分ではなく、
日本では古くから「初物」は縁起がいいという見方がある他、メディアもこぞってどこの誰が落札したのかを取り上げる為、毎年この一番マグロには通常よりも高い値段が付きます。
今年(2019年)の一番マグロは青森県大間産のクロマグロが寿司チェーンの「すしざんまい」を運営する喜代村が過去最高額の3億3,360万円で落札したとして話題になりました。
一番マグロを釣り上げた漁師の取り分は?
破格の値段で落札されたマグロですが、ふと気になる事がありますよね。
関係者によりますと、落札額の1.5%は青森県魚連に、4%が大間漁港、5.5%が豊洲市場の荷受業者に支払われ、残りが釣り上げた漁師に配分されるようです。
ざっと計算して、
夢のような話ですが、釣り上げた漁師の藤枝さんは取材を受けた際に、「船の借金を返済し、新しい設備に投資すると、ほとんど残らない」と仰っていました。
結果だけを見ると羨ましいと思う反面、そこに至るまでのギャンブル性も垣間見えますよね。
競り落とした「すしざんまい」とは?
毎年、初競の時期になると見かける「すしざんまい」を運営する喜代村。
昨年(2018年)の初競で7年連続の最高落札価格こそ逃したものの、毎年高額のマグロを落札する喜代村・木村社長の顔は全国区となりましたね。
私の住む関西では2019年1月現在、大阪・京都・兵庫にそれぞれ1店舗ずつ展開しているだけで、あまり馴染みのない寿司チェーンですが、東京での店舗数は多く、2001年に築地に1号店をオープンさせて以来、
東京以外であまり見かけない寿司チェーンが全国区の認知度となるだけに、いかに一番マグロの初競を落札する事が大きな宣伝効果となるかが伺えますね。
過去に水揚げされた巨大マグロ
毎年一番マグロの初競は大きな話題となりますが、
日本で水揚げされた過去最大の大きさは、1986年に種子島の南東沖で釣り上げられた、重さ483kgという記録があります。
そのマグロは当時の価格で200万円で落札されたそうです。
大間の漁師による一本釣りでの記録は1994年に440kgという記録があり、腕一本で釣り上げた漁師の技術と体力には感服しますね。
大間崎にあるマグロのモニュメントはこのマグロがモデルになったと言われています。
ちなみに、
400kgを超えるようなマグロを追う漁師、一番マグロを追う漁師、ともに壮絶なドラマがあるに違いありませんね。
2019年一番マグロの落札価格が何故ここまで高値になったのか
今年過去最高の落札価格を記録した一番マグロですが、一体何故ここまで高値になったのでしょうか。
落札直後の喜代村・木村社長も、インタビューで「やっちゃった!ちょっと高すぎた!銀行さんにお借り入れしないと」と話していました。
一番マグロの初競は毎年億越えが記録されるのかというと、そうでもなく、
その年の一番マグロの大きさや質、景気にも左右されるのでしょうが、今回は市場が豊洲に移転して初の一番マグロの初競ということもあり、破格のご祝儀価格だったのではないでしょうか。
落札した木村社長も昨年、今年の豊洲での一番マグロの落札を公言していましたし、喜代村と最後まで競りの一騎打ちを繰り広げた「やま幸」も、予算が3億円だったと後のインタビューで答えていたように、豊洲市場での初の一番マグロの初競りは両者どうしても落としたかったのではないでしょうか。
まとめ
今年も大いに沸いた一番マグロの初競。
海外からの観光客も注目していたように、とても大きなイベントのようになってきましたね。
また、その一方で、卸業者の間では、
豊洲市場に移転後初という状況が起こした事だとは思いますが、来年の一番マグロの初競も期待せざるを得ないですね。