単純に「万博開催」と聞くと、喜ばしい事に聞こえますが、そこにどれだけの意味があり、どれだけの経済効果があるのか、または逆に経済が衰退するのではという懸念も見え隠れするこの問題を少し考えてみましょう。
開催地の候補
まず、今回誘致を目指していた2025年の国際博覧会(万博)ですが、どの国のどの場所が立候補していたのかと言いますと、フランスのパリ、ロシアのエカテリンブルク、アゼルバイジャンのバクーと、日本の大阪が誘致レースを繰り広げました。
各国が様々なテーマを掲げ、誘致レースを繰り広げるのですが、
大阪は2008年オリンピック招致に失敗したという苦い経験と、その時に出来た負の遺産と言われる夢洲の存在が、府民の中で拭い切れず、
大阪万博決定の背景
再来年(2020年)に開催される東京オリンピックは、1964年以来56年ぶりの開催となり、大阪万博は1970年に開催して以来55年ぶりの開催となります。
そんな大阪万博ですが、決定した背景にはどのようなものがあったのでしょうか。
開催地3カ国のプレゼンにトップバッターとして勤めたのが世耕経産大臣でした。
世耕大臣はそのプレゼンで「1124店舗のすし屋を大阪で見つける事が出来ます。もしカラオケで大声で歌を歌いたくなったら、大阪でたくさん見つける事が出来ます。」と、万博というカッチリした印象を丸くし、さらに安倍首相も「2025年大阪万博は、あなたの万博となります。」と謳いました。
そこに世界中で人気のピカチュウやキティちゃんも登場し、とても親しみやすい万博をアピールしました。
一方でロシアのプーチン大統領が笑顔一つ見せずにアピールしていたのを見ると、日本は真逆の作戦を取った事が分かります。
万博では本来、技術的な発展と未来に向けてのメッセージが取り上げられますが、
革新的なテクノロジーも大事ですが、そこに“人”がどう絡んでくるのか、そういった未来の方が多くの方がイメージしやすかった、そうであって欲しい未来だっというところに、大阪万博決定となった背景があるのかもしれませんね。
大阪万博開催の経済効果と不安点
政府の発表では、
間接的な効果を見るともっと大きな経済効果が得られるという試算がされていますが、
そこには多くの不安材料が存在します。
上述したように夢洲は「負の遺産」です。
私は昨年まで大阪に住んでいましたが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの先にある夢洲まで足を伸ばす事はほとんどありませんでした。
夏フェスで夢洲を訪れるぐらいで、アクセスが悪すぎるのです。
もしこれから交通インフラを整えたとしても、万博の経済効果でインフラ整備に掛かった費用は回収出来るでしょう。
しかし、その交通インフラの維持に万博終了から先お金が掛かり続けるでしょう。
要するに万博は一時的な経済効果は得られるが、その先が難しいというのが現状です。
この記事を書いている前の週、私はニュージーランドに行っていました。
面白いなと感じたのが、ニュージーランドは観光でも持続可能な観光が得意なんですよね。
そういう観光のあり方を取っている国が少しずつ増えてきている気がします。
一方万博はどうでしょう。
そう考えたら、万博って時代遅れなコンテンツなのかなという印象を持っていましますよね。
IR事業と万博を同時に出来るのだろうか?
さらに不安材料が存在します。
2025年大阪万博の開催地である夢洲は、2024年開業を目指しているカジノを含む統合型リゾート(IR)の候補地となっています。
両方がもし上手くいけば、大阪、関西の経済がこれほどない具合に回復してくれるでしょう。
しかし、建設業の人手不足が問題となっている昨今で、同時並行して進められるか不安で仕方がありません。
もしここで、
もしかしたら、偏見を持った見方をされているカジノが大阪に誘致されず、クリーンなイメージがある万博だけが大阪に残る事に対して喜ぶ方も多いかもしれませんが、一番時代遅れの選択となるでしょう。
その意識が一番大阪の為にならないと自覚しないといけないと感じます。
まとめ
私は大阪万博の開催決定は素直に嬉しいです。
しかし、
大阪の為を思うのなら、まずはIR事業でしょう。
IRが夢洲に誘致出来れば、万博閉幕後も何の心配も要りませんからね。