数年前からサンマの不漁の原因として挙げられている問題があります。
これから本格的になるサンマ漁ですが、今年8月「豊漁」というニュースが報じられました。
しかし、素直に喜んでいい事なのでしょうか?
今回はそんなサンマの豊漁を素直に喜べない理由をお伝えしたいと思います。
秋の味覚秋刀魚
私たちが親しみを持って食べている秋の味覚のサンマですが、
「秋に獲れる刀の形の魚」という意味で名前に使われるほど、秋に漁獲量が高くなります。
“秋の味覚”と言われる要因として、サンマは6月7月には日本のはるか沖合いにいて、近海には少ない魚です。
それが、
台湾や中国の公海上でのサンマの先獲りって?
公海とは国が保有したり、排他的に支配できない海のことを指します。
要するに、公海では国際法上の条件に従いさえすれば、何をしても自由な海という事になります。
ここで、台湾や中国は日本に南下してくる前の魚を獲っているという事が近年問題視されるようになりました。
この公海でサンマを先獲りされる事で、
私たち日本人からしてみたら、由々しき事態ですが、そもそも日本は漁業をするのにとても適した場所にあります。
サンマも通常は秋になると勝手に日本に来てくれるわけなので。
ですが、台湾も中国もそういうわけにはいきません。
それに規制を求めようとする日本に対する中国の言い分も分からなくもないですね。
本当に公海上でサンマが先獲りされることが不漁の原因なのか?
上記した理由でサンマが不漁とされていますが、本当に原因はそれだけでしょうか。
確かに日本で今まで獲れていたサンマが少なくなっている要因の一つとして間違いはないでしょう。
しかし、こんなデータもあります。
公海に外国船が現れる前からサンマの漁獲量は変動していた。
海にいるサンマの総量をサンマの「資源量」といい、この中で日本にやってくるサンマを「来遊量」と呼んでいます。
先にもお伝えしましたように、公海で先獲りされる事も問題の一つとして解決させなければいけない要因の一つですが、資源量自体の減少を招く水温等の海洋環境にも目を向けなければいけない事も事実として存在します。
今年はなぜ豊漁なのか?
ここで本題に入りますが、今まで不漁だったサンマが、では何故今年は豊漁となっているのか。
サンマは表面海水温が10℃から18℃で水深25mの水温が8℃の等温線に沿って分布するといわれています。
今年の初夏の海水温度を上昇させていたラニーニャ現象が終息し、
さらに、海水の温度が寒冷であれば、海の水が深く混ざりやすく、豊富なプランクトンが増えるとされています。
サンマは北太平洋の日本近海からアラスカ、メキシコとその分布範囲は広く、上記の温度を求めて回遊している魚です。
より適した温度と多くのプランクトンを求めて回遊した結果が、今回の「水揚げ量2.4倍」、「サイズが1.3倍」という結果に結びついたのではないかと憶測されています。
このまま豊漁が続くのか?
私たちが一番気になるところは、
これに関しては、まだサンマに関する十分なデータが集まっておらず、全てが憶測でしかありません。
現に北海道の北東沖では海水温は低く水揚げ量も増えていますが、北海道の南部から三陸沖はまだ海水温が高く、このままではサンマは他の日本の水域に近寄ることはなく、
そうなってしまうと、また台湾と中国の大型漁船に大量に獲られて終わりという事態も考えられなくはない。
サンマも大切な資源です。
大量に獲ってしまえば、次の年の量にも影響が出てきます。
海水温がこのまま上昇し続ければ、さらにサンマが日本から離れていってしまいます。
一つ確実なのは、毎年サンマの資源量が減少傾向にあるという事です。
まとめ
サンマって美味しいですよね。
スーパーで新物が出始めて、夏の終わりを感じる事もあります。
そうやって秋を感じる食べ物として、これからも食卓に並んでいて欲しいですね。
そう出来るように、サンマの恩恵を受けている各国の協力も必要となってくるでしょう。
サンマがいなくなると、すだち農家も困りますからね。