前回の記事で色の持つ重要性をお伝えしました。
今回は日本の伝統的な色彩感覚と、日本料理(和食)の密接な関係から、その文化をお伝えしたいと思います。
きっと読み終わった後、目に映るもの全てが新鮮で尊いものに見えてくるでしょう。
日本人の色彩感覚
食べ物が美味しい事であったり、治安がいい事であったり、豊富なサブカルチャーっていう意見もまた魅力の内に挙がるかもしれませんね。
そんな日本ですが、「四季折々の季節感覚」がある事もまた魅力ではないでしょうか?
日本人は四季の中で色々な感性を研ぎ澄ませてきました。
日本人はそんな移ろいゆく四季を五感で感じ、色を名前にしてきました。
「牡丹色」「萌黄色」「露草色」…。
挙げ出してはキリがない程に沢山の色をその目の前に広がる事象から取っているのです。
そしてその色は聞き手にも伝わりやすく、さらには聞くだけで五感を刺激してくれるのです。
そういった繊細さが、巧みな技術を生み出す日本人の礎になったのかもしれませんね。
和食と色
そんな日本人の色の伝統が最大限に引き立てられているのが、和食ではないでしょうか。
本来の和食、おせち料理や懐石料理もそうですが、
これは世界中見渡してみても珍しく、中国料理や韓国料理は沢山の色を混ぜて食べますよね。
フランス料理も和食と同じく1品ごとに独立した色をしていますが、ソースでアクセントを出しています。
さらに和食はこの1品ごとの独立した色を組み合わせる事で、
和食は配膳されて「美味しそう!」という感覚と同時に「綺麗!」と感じますよね?
色彩感覚に優れた職人がもたらす芸術と言えるでしょう。
五味五色五法
こんな言葉を知っていますか?
日本には四季があり、その季節ごとに採れる自然の恵も異なります。
季節ごとに採れる自然の恵が異なるという事は、季節ごとに味わう色も異なってきます。
この彩をバランス良く考えて食べるという事に繋がり、それが和食が確立された頃、中国から伝来した「五色思想」という考え方に、日本料理の調理方法や味を加えることで「五味五色五法」という日本料理の基本が出来ました。
どういったものかを「五味」「五色」「五法」に分けてまとめてみましょう。
五味
人間が感じる5つの味覚です。
五色
中国から伝来した5つの色が5つの臓器を養うと考えられていました。
五法
5つの調理方法です。
これらが日本料理の基本「五味五色五法」とされました。
食文化と世界遺産
日本人の食文化は素晴らしく、
正月のおせち料理から始まり、様々な年中行事に、その日にあった季節の料理を食します。
さらには年中行事だけではなく、
こういった文化や、様々な色を使った季節の移ろいの表現、健康的な栄養バランスが加味され、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
先人達の繊細な色彩感覚がもたらした事と言ってもいいでしょう。
和食は好きですか?嫌いですか?
和食と色についてお伝えしてきましたが、和食が好きか嫌いかと聞きますと、大半は「嫌い」と答えるのではないでしょうか?
私もあまり好きな方ではありません。
ですが、色を見て、季節を感じて食べる事が出来れば、これほど有意義な食事はないでしょう。
さらにはハレの食事を通し、そのハレの意義を知る事もまた大事な事かもしれませんね。
そう考えている方も多いと思います。
それも正しくて賢いと私は思います。
和食の事を考える必要性もありませんし、選択の自由です。
ですが、不思議な事に、私が関わってきた人の中で、
まとめ
日本人の色との歴史、日本人の色の考え方、日本人の食文化、お伝えできたでしょうか?
そこには、四季と恵まれた環境がありました。
こういったものはこれからも大事にしたいものです。
感性を養う為に、美術館に行ったり、映画を観たりする方は多いと思いますが、感性を養いに和食料亭に行くことってなかなかないですよね。
ですが、和食が好きな人って知らず知らずにそういった所に通い、感性が養われていて、それが実り豊かな生活に結びついているのかもしれませんね。
他にも色に関する記事を執筆しておりますので、そちらもよろしければ見ていただけると幸いです。